フシギな話:宇宙の終焉をシミュレートする動画「TIMELAPSE OF THE FUTURE」に見出す死生観的な意義
今回は、このYouTube動画についての話をしたい。
英語動画だが、自動翻訳の字幕をONにすると日本語字幕がつくのでオススメだ。
この動画は、真面目な科学考証のもとに現在から宇宙の終焉までを30分間のタイムラプスにしたシミュレーション作品だ。
途方もない時間をかけて、最終的に、エントロピーに抗えず宇宙は死に至る。
何もかもが粉々に離散し、停止し、時間という概念がなくなってしまうのだ。
死にゆく宇宙から脱出する方法はただ一つ、「新しい宇宙を作る」ことだけだ。
動画の終盤の解説を引用しよう。
もし途方も無い量のエネルギーを一点に集中させられる原子破壊装置(粒子加速器)があれば、出口を作り出せるかもしれない。
「赤ちゃん宇宙」だ。
全く憶測の域を出ないが、ここから非常に興味深い可能性が導き出される。
知的生命体が存在する宇宙は、いずれ生命の救命ボートたる「赤ちゃん宇宙」を作る。
つまり、そのような宇宙(=知的生命体がいる宇宙)は全て赤ちゃん宇宙を産む、という可能性だ。
ひいては、複数の宇宙の中で進化、つまりは適者生存が起きるかもしれない。
つまり、知的生命体が存在しない宇宙は「生殖能力がない」。
対して、温度がちょうど良く地球のような星が存在する宇宙では、赤ちゃん宇宙を創り出せる文明が生まれ、従って宇宙そのものが繁殖していく。
僕は、この説を聞いた時に震えるほど感動した。
つまり、我々人類は宇宙の生殖能力そのものだというのだ。
僕が崇拝してやまない超大作ハードSF映画「インターステラー」では「時空や重力よりも愛が上位次元の概念である」というメッセージが込められているが、
もしこの動画で語られていることが仮に事実だとすれば、それは当然のことのようにすら思える。
宇宙の繁殖と存続の鍵が知的生命体なのであれば、知的生命体の繁殖と存続の鍵である「愛」が諸現象よりも高次に位置しているという設定は、めちゃくちゃ腑に落ちる。
と、ついテンションが上がってしまうが、
動画でも述べられている通り、もちろんこの話は科学的な学説ではなくただの憶測だ。
でも、こんなにも救いがある説があるだろうか?
自然科学も、あらゆる宗教も、
「我々は何のために生きるのか?」
「この世界はなぜ存在しているのか?」
という問いへの答えは出せていない。
何なら、永久に出せないだろう。
死は怖い。
一つ一つの生命の死は着実に訪れる。
誰もが短い命のなかで生きる意味を見出すが、この究極のテーマの答えは想像もつかないまま死に至る。
何のためになるかわからない仕事をするのは苦痛なのと同様に、
死ぬことも、生きていることも、大義がハッキリしない限り、すごく不確かで恐ろしいものに感じられる。
だからこそ、社会や科学や宗教は自分なりの答えを見つけ、自分なりに納得して安らかに生きることをサポートしてくれる。
でも僕は、天国や極楽浄土があるとか、生まれ変わりがあるとか、そういった話よりも、
「宇宙や人類が存在している理由は、知恵を使って次の宇宙をつくり、愛を繋ぎ続けるため」だと説明されるのが、どんな科学の事実や宗教の説教やよりも一番腑に落ちる。
なるほど、じゃあ、僕が持ったこのバトンにもすごく意味があるんだな。
人類にとって、どんなに小さくても良いから、本当に少しでも、1ミリでもプラスになることができれば、きっとそれは将来の宇宙のためになるんだな。
なら、頑張って生きて、この一瞬の時間のなかで精一杯に感じて、表現して、愛を繋ごう。
将来科学が示す答えは異なっているかもしれない。
だが僕はこの説が非常にポジティブ好きなので、個人的に推していこうと思う。