徹底比較!iPhoneの分割払いで最もスマートなのはペイディか?楽天か?

iPhoneが高騰している昨今。 各販売会社から、分割払い&残額免除の「買い替えプラン」が提供されている。 主な提供会社は以下の5社だ。
  • 公式Apple社と提携している「ペイディ」
  • NTTドコモ
  • KDDI
  • ソフトバンク
  • 楽天モバイル
このうちどれが一番お得か?という議論において、巷では 「ペイディは1/3しか免除されないので、1/2が免除される楽天モバイルが一番お得!」 と結論づけている記事が多く見受けられる。
が、実はそんなに単純な話ではない。
キャリアの中では楽天モバイルが一番お得なのは間違いなさそうだが、 ペイディと楽天モバイルでどちらがスマートかは非常に難しい問題なので、この記事で考察していく。

ペイディと楽天モバイルの分割払いプランの比較

  • ペイディ:iPhone 36か月分割払いオファー
    • 36回払いで購入
    • 24回支払い後、条件を満たせば残額の12回分が免除
      • 条件:今のiPhoneを返却し、新しいiPhoneに買い替える
    • 返却時、12回分の残額よりも今のiPhone下取り価格が高ければその差額が新しいiPhoneの購入価格から差し引かれる
メリットは下取り価格との差額が還元されること。 デメリットはぴったり2年後に必ず買い替えなければならないこと。
  • 楽天:買い替え超トクプログラム
    • 48回払いで購入
    • 24回支払い後、条件を満たせば残額の24回分が免除
      • 条件:今のiPhoneの返却のみ
    • 返却は下取りではなく、iPhoneの市場価値が残額より高くても還元はない
メリットは定価の半額が免除されること。 デメリットは2年後の下取り価格相場が定価の半額よりも高かった場合に損をすること。

買い替えシミュレーション

ここでは、iPhone15シリーズが発表された2023年9月時点において、 分割払いプランを利用してiPhone13ProからiPhone15Proに買い換えるケースをシミュレーションします。 ※各モデルとも容量は128GBとします。 ※2年後以降の新機種の価格および旧機種の下取り額は、現在のiPhone15Pro/iPhone13Proと同額と仮定します。

ペイディの場合

  • 現時点のお金の動き
    • 13Proの下取り額は76,000円
    • 15Proの価格は159,800円
    • その差額から、15Proを83,800円の36回払いで購入
  • 2年後のお金の動き
    • 買い替えをすると、15Proのローン残額の1/3、つまり83,800円×1/3=27,933円が免除となる
  • つまり、15Proに支払う総額は55,867円(定価の65%オフ)となる
    • 定価:159,800円 旧機種下取りによる減額:-76,000円 2年後に免除されるローン残額:-27,933円
  • さらに2年後を想定すると…
    • 15Proの下取り額は76,000円
      • ※ここから、免除されたローン残額27,933円を差し引いた48,067円が下取り額となる
    • 17Proの価格は159,800円
    • 上記から、17Proを111,733円の36回払いで購入
    • 更に2年後に買い替えをすると、17Proのローン残額の1/3、つまり111,733円×1/3=37,244円が免除となる
  • つまり、17Proに支払う総額は74,489円(定価の53%オフ)となる
    • 定価:159,800円 旧機種下取りによる減額:-48,067円 2年後に免除されるローン残額:-37,244円
これを2年後、4年後…と引き延ばしていくと、以下の表のようになります つまり、2年ごとにiPhoneの最新機種を定価の約48%オフで買い続けられるということになります
※右にスクロールできます→
① 新機種 価格② 旧機種 見積り額③ 旧機種 免除残額 (2年前の⑤÷3)④ 旧機種 下取り額 (②-③)⑤ 新機種 購入額 (①-④) 実質 支払額 (⑤-2年後の③) 定価比
2023年159,80076,000076,00083,80055,867-65%
2025年159,80076,00027,93348,067111,73374,489-53%
2027年159,80076,00037,24438,756121,04480,696-50%
2029年159,80076,00040,34835,652124,14882,765-48%
2031年159,80076,00041,38334,617125,18383,455-48%
2033年159,80076,00041,72834,272125,52883,685-48%
2035年159,80076,00041,84334,157125,64383,762-48%
2037年159,80076,00041,88134,119125,68183,787-48%
2039年159,80076,00041,89434,106125,69483,796-48%
2041年159,80076,00041,89834,102125,69883,799-48%

楽天の場合

  • 現時点のお金の動き
    • 下取りと購入は別々で進行するため、15Proを定価の179,800円の48回払いで購入
    • 13Proの下取り額は56,790円であり、後日楽天キャッシュで受領する
  • 2年後のお金の動き
    • 買い替えをすると、15Proのローン残額の1/2、つまり179,800円×1/2=89,900円が免除となる
  • つまり、15Proに支払う総額は33,110円(楽天の定価の82%オフ、Appleの定価の80%オフ)となる
    • 定価:179,800円 2年後に免除されるローン残額:-89,900円 旧機種下取りによるキャッシュバック:-56,790円
ここまでを見ると圧倒的に楽天に軍配が上がりそうですが…
  • ただし2年後は、「下取り額」がなくなるので…
    • 17Proを定価の179,800円の36回払いで購入
      • (ついでに機種変更時に事務手数料+3,300円が発生)
    • 更に2年後に買い替えをすると、17Proのローン残額の1/2、つまり179,800円×1/2=89,900円が免除となる
  • つまり、17Proに支払う総額は93,200円(楽天の定価の48%オフ、Appleの定価の42%オフ)となる
    • 定価:179,800円 機種変更時の事務手数料:+3,300円 2年後に免除されるローン残額:-89,900円
楽天は残額免除の条件が下取りではなく返却のみとなるので、 2年後以降はずっと同じ計算となります。 つまり最初だけは圧倒的にお得ですが… 2年後以降はペイディよりも割高に買い続けるということになります

結論

上記の結果から、2年ごとのペイディ・楽天それぞれの支払額をシミュレートすると以下のようになる。
ペイディ 累計 実質支払額楽天 累計 実質支払額
2023年55,86733,100
2025年130,356126,300
2027年211,052219,500
2029年293,817312,700
2031年377,272405,900
つまり、短期的(次の買い替えまで)は楽天の方がお得ですが、 長期的(2回目の買い替え以降)はペイディの方がお得になっていくという構造になっています。

補足:1年で買い替えたくなった場合

iPhoneは高額なので、そう毎年毎年買い替えられるものではない。 しかし、どうしても買い替えたくなるような大型アップデートがたまにある。
僕の場合、初めておサイフケータイが搭載されたiPhone7は、iPhone6を持っていたにも関わらず買い替えざるを得ませんでした。
もしそんな素晴らしくも苦しいケースに直面した場合、「2年ごとの買い替え」が前提になっているこれらのプランでは不都合が起きてしまう。 そこで、15Proを買ったのに16Proも欲しすぎて買わざるを得ないという例外ケースを想定し、 ペイディあと払いプランを利用していた場合にどのような行動をとるべきかを考察しておこう。
  • 先述のシミュレーションから、15Proの購入額は83,800円である。
  • 16Proは買い替えタイミングの2年周期にハマらないので、159,800円で一括購入する。
    • このときの15Proの扱いについて、「すぐ売ってしまう」「2年後に新機種に変えてすぐ売る」という2つのパターンを想定してみよう。
  • すぐ売ってしまう
    • 現在の14Proの下取り額を参考に、1年後に15Proが92,000円で売れたとしよう。 するとローン残額が免除されないので15Proへの実質支払額は83,800円となり、16Proの実質支払額は67,800円となる。
      定価:159,800円 下取り額:-92,000円
      このとき、15Proと16Proの2世代へ支払う総額は151,600円となり、早まらずにプランを活用し2年周期で15Proと17Proを買い替えた場合の総額は130,356円なので、我慢できなかったぶん2万円ほど出費が嵩むことになる。
  • 2年後に新機種に変えてすぐ売る
    • 残額の免除を優先し、16Proは発売日に買いつつも、15Proは17Proの発売日に買い替え、すぐに17Proを売るという行動をしたとしよう。 するとローン残額が免除されるので15Proへの実質支払額は55,867円となりシミュレーションと同様だ。 16Proへの支払額は定価通りの159,800円となる。 17Proについては、15Proの下取り額と残額免除の差額を引いた111,733円で購入する形となり、 これをすぐ新品で売却して、仮に定価に近い155,000円程度で売れたとすれば、43,267円の利益が出る。 これを16Proの原資にしたとみなせば、15Proと16Proの2世代へ支払う総額は172,400円となる。 これは先ほどの「15Proをとっとと売る」よりも割高なので、結局15Proはすぐ売ってしまったほうが良いということになる。
以上から、すべてを踏まえた結論は以下の通りとなる。
  • iPhoneを定期的に買い換えるならペイディあと払いプランが最もお得
  • もし2年周期よりも早く買い替えたくなった場合は、手元の旧機種はすぐに売るのがベスト
ただしプランの周期を無視して早く買い替えてしまうと、ローンだけが残るというやや気持ち悪い形になってしまうので、一度買い替えプランにエントリーしたら出来るだけ2年周期での買い替えを守った方が良いだろう。